ご近所さんから”人形の家”と呼ばれる、小さな小さな庭付きの家「Doll House」
余りの小ささゆえにご近所さんからDoll Houseと呼ばれるこの家。
幅わずか3.5mと細長い土地に建てられているが、小さいながらも庭もあり、生活を楽しめるつくりになっている。
オーストラリアでは家の中と外を楽しめるような建物のデザインが多く見受けられる。敷地面積一杯に家を建てるのではなく、庭も生活の重要な要素として考えられているのだ。
四角と台形を組み合わせたデザインで個性的である。家をプライベートスペースとセミプライベートスペースに分けているが、それぞれの部屋のインテリアカラーを白で統一し、つながりを持たせている。
通路は大きなガラスドアにより圧迫感はなく、実際よりもとても広く感じさせる。ベッドルームとキッチンの大きなガラスドアは太陽の光をいっぱいに取り込めるように工夫されている。通気性も抜群で夏でもすごしやすい。部屋が見通せるようになっているので視覚効果により奥行きを感じる。
キッチンは壁を利用して吊るす収納と、備え付けの棚も多く使い勝手がよさそうだ。リビングエリアの壁一面を使った本棚も整理されていて気持ちいい。装飾の髑髏や頭部のない犬などエッジが効いていて好みがわかれそうではあるが、空間の使い方は参考にしたい。壁の一部には改装前のレンガの壁をそのまま残し、以前の面影を残している。バスルームや、ベッドルームでの鏡の使い方も部屋のアクセントになっている。
新しいものばかりでなく、古いものもインテリアに取り入れて、温かみを感じさせる。外見よりも中身が大事。この家を見ていたら、そんな言葉が浮かんできた。中身を知ってもなお、近所の人々はこの家を「人形の家」と呼ぶのだろうか?
(文=加藤聖子)